Kazuki Oishi

Catch the root

庭の隅の木、洞窟、セメント、鉄 1100x650x2000mm 2023
撮影:木奥恵三 会場:TALION GALLERY

親密さ 「血は水よりも濃い」
はっきりと最上級の親密さを言い表すその言葉に、制作は引っ張られる事となった。 血縁のつながりの強さとは、その関係性によって相手のことをより親密な立場で知ってきた(知らざるを得なかった)事実によるものがあるだろう。重い。今の僕には実感が足りなくて言葉に詰まる。しかしその逃れようのない親密さを、人同士の関係から解いて、わたしと「何か」の関係に置き換えたなら、「自宅」という親密さから切り離すことのできない生活のテリトリーに何か発見があるのではと思えた。 自宅が好きだ。とても好き。言わずもがなプライベートを守れる空間だ。好きすぎて家の隅から隅まで知っている気がしてくる。小さな庭付きの物件なこともあり隅には花壇があるのだが、そこには春に綺麗な花を咲かせる小さな木が元から植わっていて、それも結構好きだった。 その花壇で去年から家庭菜園を始めた。苗木を植えるために深さ10センチ程の穴を掘る際、木の根が地中から顔を覗かせて邪魔をすることがあった。しかも春から夏にかけて異常な生命力で成長して、花壇の土の養分を独り占めするせいか、野菜がうまく育ってくれないのだった。隅々まで知っている自宅の筈が、わずかに下方向の世界には未知の反抗の側面が見え隠れしていたのだった。 僕はもしかすると、自宅のことを何も分かっていないのかもしれない。探検家の気持ちで小さな洞窟を掘った。柔らかめの土は素手でも案外掘り進めることが出来た。木の根元付近で探し当てた根っこは思ったより細くて、少し引っ張れば地中でも折れてしまうほどに弱々しかった。 2023.7.14

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